偏光レンズの色抜け
水面が流れや風によってさざ波になっている時に、太陽の位置によりギラギラと反射する場合があります。
このような時に偏光サングラスで見ると、波頭などが赤や青でチラチラと光ることがあります。
これが赤く見えるものを「赤抜け」、青く見えるものを「青抜け」といいます。
<何故起こるのか?>
そのレンズが持つ偏光度と密接に関係があります。通常偏光レンズには偏光度という偏光性能を表す数値があります。
これは簡単に言うと反射光をカットする率の事で80%〜99%ぐらいが妥当な数字です。
100%が完璧な状態として、100から上記を引き算した%の光が偏光レンズでカットできずに透過して目に届きます。
その数%の光がある色はカットするがある色は透過するように偏って通過するため、私達の目には赤や青に見えるのです。
<色抜けの色について>
どの色に見えるかはベースとなる偏光フィルムの特性で変化します。
但し偏光フィルムの素材によって大まかな傾向があります。これは素材の特性と言えます。
偏光レンズはレンズ素材名CR-39に代表される鋳造(キャスト)で製造する系統とポリカーボネイトに代表される成形(インジェクション)で製造されるものに大別できます。
製造過程でかかる熱によりフィルム素材は使い分けます。
<偏光フィルムの種類>
●ヨード系偏光フィルム
有機系のヨードは可視光線領域で高い二色性を示すので、ヨード系偏光フィルムは偏光性能が高いものが製造できる反面、一般的に加熱、加湿に弱い傾向があります。
鋳造(キャスト)の場合は高温にならなくても製造できるのでヨード系偏光フィルムが使えます。
●染料系偏光フィルム
熱に弱いヨード材料では高い熱に耐えられないため、代わりに生み出されたのが化学合成された二色性染料です。
これは耐熱や耐久性は高い反面、偏光性能はヨード系偏光フィルムに劣ります。
ポリカーボネイトやアクリルなどの素材は成形時に高い熱がかかるので、こちらのフィルムが使われています。
<色抜け発生の目安>
各社の製造技術にもよりますので確率された数字ではないのですが、色抜けが発生する大体の目安はあります。
ヨード系偏光レンズの場合
・偏光度が99%以上が望ましく、透過率は最大40%ほどが限界と思われる。
もし透過率がこれ以上なら偏光度99%以上の性能を出す事は困難であり、なんらかの色抜けを起こすと思われる。
抜ける色はフィルムのカラーにもよりますが、一般的に青系のカラーになる。
染料系偏光レンズの場合
・偏光度が99%以上が望ましく、透過率は最大32%ほどが限界と思われる。
もし透過率がこれ以上なら偏光度99%以上の性能を出す事は困難であり、なんらかの色抜けを起こすと思われる。
抜ける色はフィルムのカラーにもよりますが、一般的に赤系のカラーになる。
<色抜けの確認>
2枚の偏光レンズを直交(レンズを重ねて一番濃くなった状態)させて、強い白色光を見たときに、きれい に消えるか、若しくは消えなくても白色のまま減光して見えていれば、実使用でも色抜けは感じません。
この時に青や赤のカラーに見える場合はそのカラーが抜ける色となります。